
Best choice ウォルター・D・エドモンズ/作 福武書店
1989年 初版 斉藤健一/訳 ウェンデル・マイナー/カバー絵
期待した通りの肉厚なストーリーだった
ここ数年、アメリカの開拓民の物語を読んできたけれども、本作も一気読み
主人公が暮らす土地に作者が生まれ育ったと知って納得
10代の少年が立派な納屋を建てる過程とともに
隠された大金を巡る事件がスパイスとして効いている
【内容抜粋メモ】
登場人物
バート・ブリーン
妻メアリー
チック・ハナベリー
娘ポリーアン 夫ノブ・ドーラン
息子トム
妹の双子 シシーメイ、エリー
馬ドルー
バーディー・モリス老人
貸し馬車屋 ジョー・ヘンプヒル
製粉工場
アーロ・アッカーマン
ジョージ・フック
オックス
ムーショー兄弟
銀行家オスカー・ランバート
弁護士ビリーボブ・バクスター
フランチャー兄弟 ヤンティス、ニューマン、エンダーズ
バートとメアリー夫妻は丘に住み、ブリーンの丘と呼ばれるようになる
立派な納屋を建て、2人は30年以上暮らした
周りにも家が建つが、豊かな表土が使い尽くされ
穀物がとれなくなると、みんな土地を出て行った
バートはあちこちの土地を買い漁っていたが
どこからお金が出てきているかは不明で
銀行にも預けていないのが謎だった
1890年、バートが死に、メアリーはその後もずっと丘の上で暮らし
週に一度、町に買い物する以外は人とも付き合わずにいた
*
チック・ハナベリーは怠惰な男で、誰も住まなくなった空き家を転々としていた
妻を亡くし、5人の娘をこき使っていた
娘たちは結婚し、一番近くに住んでいたのはノブ・ドーランと結婚したポリーアン
ノブもまた酒を飲み歩いて金を使い果たした末に
5年後、行方不明になった
ポリーアンは農場で働く独身男の洗濯物を洗ったりして
なんとか子ども3人と暮らしている
息子トムはもっと大きな納屋が必要だとバーディー老人に相談する
バーディーは子どもの頃、母が落として肩が外れて
片方の肩が持ち上がったまま大人になった
バーディーはブリーン未亡人の所に立派な納屋があると教える
若い頃、バートと近隣の人たちで建てた思い出がある
2人でそれを見に行くと、ブリーン夫人はショットガンを狙って迎える
事情を話すと、家に入れてお茶をふるまう
夫人は昔から占いをする人で、トムも占い、学校を辞めて働きだし
やがて大金が手に入ると教える
*
トムは学校を辞め、アッカーマン=フック製粉工場で働いて
納屋を建てるお金を貯めはじめる
仕事を教えるのはオックスというベテラン
トムは初めて10ドルものお金を稼いで
その年のクリスマスは母と妹たちにプレゼントを買った
母にはブラウス、妹にはリボン
その日はひどい吹雪になり、雪が積もって道が分からない中
なんとか歩いて帰宅する
クリスマスイブには社長が酒をふるまい、ボーナスを渡す
他の従業員は5ドルもらったのに、自分は50セント銀貨でガッカリするトム
オックス:
お前はやっとはしごの下に立ったところだ
登のは、これからだ
バーディーもいっしょにクリスマスを祝う
*
トムはブリーン夫人を心配して訪ね、薪を家まで運んだりして手伝う
それが最期の姿だった
貸し馬車屋のジョーがブリーン夫人が亡くなっているのを発見
検視官、郡保安官が立ち合い、最期に会ったトムもいっしょに家に行く
ブリーン夫人は自然死と判定されたが
家の中が荒らされていて、荒くれ者のフランチャー兄弟の仕業と分かる
家と納屋は郡が税金をとるために売りに出されると聞いて焦るトム
弁護士ビリーボブを訪ねて、ブリーン家の納屋がいくらで売られるか調べてほしいと依頼する
この年からフックさんもクリスマスに訪ねるようになり
トムへのクリスマスプレゼントに『実用木工百科事典』をくれる
フランチャー兄弟はブリーン家をかき回すのを止めず、トムを脅す
ヤンティス:この辺をやたらにかぎ回るのはやめろ
*
ビリーボブはアブ・ランバートがブリーン農場を買ったと話す
実際買ったのは、アーモンドさんと分かり
会って、納屋を売って欲しいと正直に話すと
100ドルを見積もっていたが、母屋も解体するのが条件で75ドルで売ってくれる
パーカー・マンジーも早く片付けて、ウロウロしないようにと脅す
ポリーアンも納屋を見に来て、父に言われてイチゴ摘みをした後
バートが納屋でなにかしているのを覗き見ているのを夫人にバレて
ムチ打たれた思い出を話す
トムはバートが大金を隠したのは納屋だと勘づき、母に話す
母屋を取り壊した後、夜に2人で行って取ってこようと相談する
納屋の棟上げといえば、何十人もの労働者が集まって手伝う大事件で
見に来る人たちもごちそうをあてにしているから、ものすごい量のごちそうがいる
ポリーアンはフックに相談し、コンロイ夫人と、アッカーマン夫人が仕切ってくれることになる
バーディーが指揮をとって、木こりや、オックス、ムーショー兄弟らもみんな手伝いに来てくれる
棟上げは無事、成功したが、フランチャー兄弟が納屋の床について聞いて回っていたと知り
トムは疲れもいとわず、母と夜、馬車を出して、ブリーン丘へ向かう
納屋の床板を外すと、重いトランクが2つ隠してある
フランチャー兄弟の馬車がやって来て、慌てて帰るも
家にトランクを置くのは危険すぎるため
弁護士ビリーボブの事務所に持っていく
3人でトランクを開けると、札束が詰まっている
この夜はビリーボブが預かり、翌日、銀行に預けに行く
*
頭取オスカーは、金の出どころを聞かず、金庫室に案内して、金を数える
合計9240ドルもあり、早速、通帳を作り、預けることになる
フランチャー兄弟が仕返しに来るだろうと怯えていたが
ソルじいさんを突き飛ばして大喧嘩になり、銃で撃たれる騒ぎになり、逮捕された
ビリーボブはトムに大金の使い道を聞く
トムは納屋の壁にする材木を買い、若い牝牛、馬車も欲しいと話す
ビリーボブはバーディーのことを思い出させ
彼の口座も作って、500ドル入れることにする
(他人の口座を勝手に作ることって可能なのか?
トムとバーディーはこれまで通り必死に働いて、納屋を完成させ
契約通り、ブリーンの空き家を壊して、火をつける
クリスマス、フックさんにもお金について事情を話し
将来はドーラン農場と名前をつけて事業としてやりたいと夢を話し
一緒に2頭の立派な馬を買い、馬車も揃える
アーモンドさんに残りの借金を返す際、ポリーアンも同行した
貧しかった少女時代、摘んだイチゴを持って、この家に来て買ってもらったことがある
アーモンド:いい息子さんをお持ちですね
ポリーアン:本当にそう思ってます
トムはブリーン夫人がいつか惨めな生活から抜け出すと占ったことを思い出す
■訳者あとがき
納屋はふつう2階建てで、1階は荷馬車を置いたり、家畜を飼い
2階は牧草や穀物の貯蔵に用いる
陽気な棟上げの習慣は、アメリカの開拓農民たちの孤独な生活と密接にかかわっていたのではないかと想像される
物語の中心舞台となるブーンビルに生まれた作者は
子どもの頃からそのような人々を見てきたことでしょう