チボール・セケリ/作 福音館書店
1983年初版 1984年 第8刷 高杉一郎/訳 松岡達英/画
鮮やかな緑のカバー絵に惹かれて借りて一気読み
アマゾン奥地で船に穴が開いて、岸にたどり着いたはいいが
銃も食べ物もなく困り果てた人々の前に現れたのは現地の部族の少年
10歳ほどの見た目なのに、身ひとつでジャングルで生き延びる術をすべて身につけている!
ヒトはこうして獣とともに自然の中で生きていけるものなんだなあ
ジャングルの中にヒトに必要なものはすべてあるという言葉通り
道具を作り、火を起こし、獣を狩り、魚を釣り、果物もとる
動物園でしか見たことのない動物が次々出てきて
野生の姿で生きている様子がいきいきと描かれている
作者が本物の冒険家だからこその説得力と描写
【内容抜粋メモ】
アマゾン河に流れ込む支流アラグワヤ河を渡っている途中で
樹木の幹が船腹に穴を開けて沈みかけ、乗客は慌てて救命ボートに乗って
近くの岸へ運ばれた
乗客の中で唯一ヨーロッパ人の私は、それまで南米のインディオの
いろいろな部族の生活を調査して、何年も過ごしたが
食料もなくジャングルに放り出されて困り果てる
マチェテという刃物で枝を切って、火をたいていると
インディオの少年、カラジャ部族のクメワワが現れ
遠くで魚をとっていたら、水に塩が混ざり汽船が沈んだと分かり助けに来たと言う
クメワワ:長老マロア言った 困っている人助ける 自分を助ける
私は汽船に乗る前、カラジャ部族の村で10日ほど過ごし
酋長ワタウの家にいたため、クメワワも覚えていて
ニイクチャップ(ひげづら男)と呼んで好意を寄せ
2人でみんなの食糧をとりに出かける
途中、ホエザルの声を聞く
オオハシも飛んでいる(鮮やかな鳥だよね いかにもアマゾンぽい
丸木舟で早瀬を通り抜け、銛や矢で大きな魚を器用にとるクメワワ
アマゾン地方の河で一番おいしい魚ピラルクもとる(あつ森にもいたっけ?
私も見よう見まねで銛で魚をとろうとするが、電気うなぎにしびれて
無数のピラニアが1分もしないうちに骨にしてしまう/驚
エイのしっぽには毒があると教える
大漁の魚を持ち帰るとみんな大喜び
クメワワ:ジャングル、人間が使うもの、みんなある 見つけさえすればいい
船長:この子はきっと金が欲しいのだろう
クメワワ:困っている人、クメワワ助ける 金、いらない
クメワワは金は要らないと言っているのに
みんなからお金を集めて袋に入れて渡そうとする
10mほどのロープがあれば、汽船を岸に引っ張って修理できるのにと船長が言うと
クメワワは近くの林から糸になるものを引き抜いて手でよって見せる
みんなで材料を集めて、20mもの丈夫なロープが出来上がる
クメワワは顔にある丸い刺青について聞かれて話す
「オマルロ」といい、カラジャ部族の男女は
これがついて初めて本当の仲間に数えられるようになる
それには原始林の中で他人の手を借りずに生活するすべを覚えなければならない
枯れ枝を集めて火をおこし、弓矢を作って狩りをし
1年間冒険をした最後に酋長の試験を受けて
合格したら、頬にパイプを押し付ける(焼き印だな↓↓↓
翌日、船長はまた2人に食糧を調達してほしいと頼む
クメワワは用途に応じていろんな矢じりの道具を持っている
砂浜についた足跡から、カメが産卵し
翌朝、ワニと鳥が卵を巡ってケンカしたことまで読み解く/驚
カメの卵は120個もある(美味しいって書いてあるけど、生臭そう・・・
100頭以上のイノシシの群れが走り抜ける間、2人は木の上に避難する
最後のイノシシ1頭を仕留めるクメワワ
火をおこして、肉を焼いていると、軍隊アリの大群が押し寄せる
刺されると強い痛みとともに水ぶくれになる
2人は丸木舟に乗って水に逃げると、軍隊アリは丸いボールになって対岸に渡る!驚
イノシシの肉はすっかり骨だけになっている
クメワワ:怪我した人、病気の人、ぐっすり眠って逃げられなかった人、みんなこうなる(スゲーな!!
大きなアルマジロを見つけて追うと巣に入ってしまう
クメワワは火をたいて、葉っぱでうちわを作って煙を巣に入れて
息苦しくなって出てきたアルマジロを仕留める
ノドがかわけば、水蔓を切って、中の美味しい水を飲む
クメワワは私に部族に加わりたければ、長老にかけあうと誘うが
故国に帰らなければならないと答えると寂しそうな顔をする
船長:30人を食わすことができるなんて、君は一流の狩人だ
肉には野生のニラや香辛料を加えて味変も可能!
ジャングルの王さまジャガーは朝と夕方、水を飲む時は他の動物を襲わないから
サルやオオアリクイが近くにいても全然気にしない
クメワワはバクも仕留める
クメワワ:長老マロア言った 生の肉、獣を呼び寄せる 料理した肉、人間を呼び寄せる
*
みんなで汽船を修理して、最後の日
2人はパイナップルをとりに出かける
途中でシカの親子の美しい姿を見て、2人になでさせてくれる
クメワワは狩りもするが、獣が大好きだと話す
竹を切って水筒にして、木に登り、ハチミツをとるクメワワ
野生のミツバチは人を刺さない(ほんと!?
パイナップルにハチミツをかけて食べると、すごく美味しくて、みんな驚く
私は汽船にクメワワを乗せて、中を案内する
かぶっていた熱帯用のヘルメットをクメワワにあげると
クメワワは私に頭につけた鷲の羽根をくれる
みんなから集めた金の入った袋は船に置いて、また森へ消えていく
■訳者あとがき
チボール・セケリ
1912年 現チェコスロバキア生まれ 父は獣医
27歳でアルゼンチンへ渡る
第二次世界大戦が始まって故国へ帰れなくなり、15年間南米で暮らす
後にスペイン語の短剣の雑誌を創刊
インド、ネパール、日本、モンゴルなども旅した
1960年に日本に来たセケリは、4か月かけて北海道から九州まで訪れて講演を行った
9つの国語を自由に話し、5大陸の80か国を旅し、15冊の本を書いた